センターのいちおし
図書準備室
2012.02.25
タイトル 図書準備室
編著者名 田中慎弥著
出版社 新潮社
出版年 2007
内容と紹介 区分:和図書/ID:100123212/所在:普通書架/請求記号:913.6/TS

第146回芥川賞の記者会見で一躍時の人となった田中慎弥。

4度目にしてようやく芥川賞を受賞した苦労の人に見えますが、2005年に新潮新人賞でデビュー後、川端康成文学賞や三島由紀夫賞を立て続けに受賞しており、実力派新人作家です。しかし有名になった記者会見以降、本人の言動や生い立ちといった場外ばかり注目され、作品を論じられることが少なく、残念に思います。

本書は処女作『冷たい水の羊』と2作目『図書準備室』をあわせた単行本です。
『図書準備室』では、学校に居場所を見つけられない主人公の青臭い心理描写が続くのかと思いきや、急に登場した教師がまるで戦後文学のように鬱々とした告白を始めます。異様に長い告白は、血と土と性でべっとりとした陰湿な世界が続き、前半と後半が同じ小説かと疑ってしまうくらい密度に差があります。
作家の源泉ともいうべき処女作『冷たい水の羊』では、冷たい火傷のようないじめがとても印象的です。

どちらもゴシップではない田中慎弥を味わうには最適です。
是非、芥川賞受賞作『共喰い』(913.6/TS、10034638)とあわせて読んでみてください。
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