センターのいちおし
種子のデザイン : 旅するかたち (Inax booklet)
2016.08.04
タイトル 種子のデザイン : 旅するかたち (Inax booklet)
編著者名 佐治康生撮影/上路ナオ子イラスト
出版社 INAX出版
出版年 2011.9
内容と紹介 世界屈指の乾燥地域として知られ、いつもは草ひとつ生えない南米チリのアタカマ砂漠を突如覆い尽くす色とりどりの花。5~7年に1度の割合で発生する「砂漠の花畑」と呼ばれるこの現象、エルニーニョによって降水パターンが変わり、大規模な洪水が複数発生したことなどをきっかけに、一年草の植物が一斉に芽を出すことが原因とされています。
様々な花が咲き乱れる様子から、不毛の地とされる砂漠地帯にも思いがけず豊かな生態系があることを垣間見ることができます。
それにしても植物の種とは不思議なものです。
2000年以上前の古代のハスの実から発芽・開花した『大賀ハス』の例もあるように、小さな体に緻密なセンサーを備え、「花を咲かせて実を結べる環境が整う」、または「発芽に適した場所に旅をし、そこへ辿り着く」までじっとその身を種の中に留めているのです。

種子たちが適した環境へ根付くための手段は多種多様です。空中を移動するためのプロペラ、船の帆のような風を受ける羽の形、海流に乗るための構造、山火事による熱に触れることで固い皮を弾けさせ種を蒔くもの…形状は様々ですが、どれを取ってみてもたいへん面白く美しい形をしています。

本書ではそんな植物の種の不思議さと工夫と知恵をデザイン面から取り上げ、鮮明な画像と堅苦しくないコラムで紹介しています。それぞれの種子の造形美を眺めているだけで楽しい一冊ですが、その美しい形とデザインの中に潜むのは、種子たちが置かれた環境で求められる究極の合理性です。コラムを併せて読み進めていくうちにその形でなければならない確固たる理由を知ることができます。デザインの発想のヒントになる一冊としても、ぜひ手に取ってみてください。

さらに、より深く種子の造形の美しさを知りたい人には、当センター所蔵の『世界で一番美しい種子図鑑 : キュー王立植物園公認』(場所:普通架、請求記号:471.1/KR)もオススメです。
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