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小林カツ代と栗原はるみ : 料理研究家とその時代 (新潮新書:617)
2016.05.27
タイトル 小林カツ代と栗原はるみ : 料理研究家とその時代 (新潮新書:617)
編著者名 阿古真理著
出版社 新潮社
出版年 2015.5
内容と紹介 「たけのこ」「カツオ」など、食材の名前をキーワードにすると、たちまち何百万ものレシピのなかから作りたい料理がインターネットで検索できる今日この頃。ネットがなかった時代のお母さんたちはどのようにして料理の方法を覚えてきたのでしょうか。
本書は明治以降、産業文明の発達と共に都市部にサラリーマン層が生まれ、「主婦」「家庭」という言葉が生まれた時代から現在までの女性史を追いながら、主婦に料理や献立を教えてくれる存在の「料理研究家」を取り上げています。初期は新聞や実用雑誌、太平洋戦争後は加えてテレビ番組などでたくさんの料理研究家が活躍してきました。料理学校を修めた専門家、海外赴任の夫につきそっての外国生活から西洋料理や海外の暮らしを紹介したセレブリティ、自分自身の家族の食事を工夫しながら作ったレシピを雑誌や新聞への投稿することで見出された主婦など、さまざまなバックボーンを持った料理研究家が、それぞれの思想・やり方で、日々の献立や子育てや仕事との両立に悩む主婦を励まし、導いてきた歴史をたどることができます。
飯田美雪、城戸崎愛、有元葉子、桐島洋子、土井勝、辰巳浜子、芳子、高山なおみ・・・中でも“時短料理”で多大な支持を得た小林カツ代と“カリスマ主婦”として90年代から絶大な人気を誇る栗原はるみを大きく取り上げ、それぞれのレシピの特徴、スタンスや社会的影響を考察し、また、それぞれの息子であるケンタロウ、栗原心平、その友人のコウケンテツら平成の「男子」料理家たちにも触れ、母親たちが伝えようとしたことを引き継いでいる様子、男女の分け隔てなく料理することが普通になりつつある現在の状況を紹介しています。それぞれの料理研究家による「ビーフシチュー」「肉じゃが」の作り方の違いの検証や、筆者が実際にレシピを元に作ってみたレポートのコラムも興味深く、ネットに頼るだけではなく、たまにはプロのレシピで料理をしてみたくなります。
食いしん坊の人、料理番組やレシピを読むのが好きな人、また料理に興味を持っている人に特にオススメの一冊です。
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