センターのいちおし
はるかな旅 : 岡上淑子作品集 = A long journey : the works of Toshiko Okanoue
2015.11.24
タイトル はるかな旅 : 岡上淑子作品集 = A long journey : the works of Toshiko Okanoue
編著者名 岡上淑子著
出版社 河出書房新社
出版年 2015.3
内容と紹介 モノクロームの洋画のような
不思議の国のアリスが大人になったような
謎めいていてシュールでスタイリッシュなフォトコラージュの数々。戦後復興期の昭和25年(1950年)から32年(1957年)までの間だけ制作されたこれらの作品の作者は、岡上淑子という当時20代の女性でした。
彼女は文化学院での洋裁修行のかたわら、授業で習った貼り絵がきっかけとなりコラージュ制作を始めます。進駐軍が引き上げの際に古書店に残した1940年代の『TIMES』や『VOGUE』などの古雑誌を集め、シュールリアリズム運動とは無自覚に、気のおもむくままに作ったコラージュは、同級生の武満浅香(武満徹夫人)を通じて日本のシュールリアリズムの権威でもある瀧口修造の目にとまります。彼に励まされ、制作した作品はカメラ雑誌や東京のギャラリー、美術館などで少しずつ発表されてはいきましたが、結婚・出産など家庭の事情もあり、生まれ故郷の高知に戻った後、その100点以上もの作品はほとんど人目に触れることもなく、洋服の保存箱の中で東京の思い出としてそのまま残されていました。

『日本現代写真史:1945-1970』〔普通:740.21/NI/1945-1970〕の中に1枚だけ小さく収録されていた《沈黙の奇蹟》という作品に心奪われた東京都写真美術館学芸員が、すっかり作家活動から離れ高知で普通の主婦として暮らす彼女を捜し出し、2000年には東京の第一生命ギャラリーにて44年ぶりの個展が開催されることとなります。
展示は評判となり、国立近代美術館・アメリカのヒューストン美術館・ニューヨーク近代美術館・高知・栃木県立美術館への収蔵、アメリカでの作品集出版、金井美恵子が作品にインスパイアされた小説を発表するなど、評価はさらに広がっていきました。
2015年に出版されたこの日本で初めての作品集は、自選77点のほか全作品リスト・詳細な経歴、作家へのインタビューが収録されています。半世紀の時を越えて再発見されたコラージュとその物語に、ぜひ触れてみてください。
リンクURL はるかな旅 : 岡上淑子作品集 = A long journey : the works of Toshiko Okanoue