センターのいちおし
フェーヴ : お菓子の中の小さな幸福
2015.05.19
タイトル フェーヴ : お菓子の中の小さな幸福
編著者名 磯谷佳江著
出版社 二見書房
出版年 [2010.10]
内容と紹介 新年が明けると、フランスではエピファニーに向けて『ガレット・デ・ロワ』というケーキが街中のパン屋さん、お菓子屋さんのショーウィンドウを飾ります。エピファニーとは1月6日の公現祭のことで、星に導かれてベツレヘムを訪れた東方の三賢者が、幼いキリストを訪問しその誕生を祝った日とされています。
この日に食べるお菓子が「王様のお菓子」と訳されるガレット・デ・ロワ。一般的にはパイ生地の間にアーモンドクリームをはさんで焼き上げた伝統的なお菓子で、必ず紙などで出来た王冠がついています。特徴的なのはケーキの中に1つだけ「フェーヴ(Fève)」と呼ばれる2~5cm程の小さい陶器の人形が入っていること。年の始めに家族や友人と集まり、ガレット・デ・ロワを切り分けて、自分のピースにフェーヴが入っていたら大当たり。紙の王冠をかぶせてもらって「ロワ・ド・ジュール(今日の王様)」として皆から祝福され、その1年は幸運に恵まれるといわれています。
このフェーヴ、フランス語で「そら豆」という意味で、昔は本物の乾燥したそら豆をガレットに入れていました。1870年頃からは陶器などが使われるようになりましたが、現在でもその呼び名は続いています。
モチーフはキリスト誕生にちなんだマリア像や、飼葉桶に寝かされた幼子イエスの他に、動物や植物、食べ物や食器、ピーターラビットやミロのヴィーナスと多種多様で、毎年数千万個のフェーヴが作られています。また、フェーヴは8~12個くらいがひとつのテーマを持ったシリーズとしてセットになっているものも多く、中にはパズルタイプになっているフェーヴも。小さいながらも精巧な作りで色彩も美しく、子どもだけではなく大人たちもその魅力に魅了され、世界中にコレクターが存在します。
本書ではフェーヴが陶器製になった1870年代のものから現代のものまで、ジャンル・年代ごとに掲載されており、各シリーズの世界観が一目で感じられるつくりになっています。また、フランス唯一のフェーヴ博物館や、なぜ当初そら豆が用いられていたかなどのフェーヴの歴史、10万個近く蒐集しているコレクターへのインタビューや製造工程も紹介されています。古くからフランスの伝統菓子に用いられてきたフェーヴ、見た目の可愛さだけでなく、モノ自体が持つ“意味”や“役割”に思いを馳せながらページをめくってみてください。わずか数センチの陶器から、その国の歴史や文化を垣間見ることができるでしょう。美味しそうなガレット・デ・ロワの写真も掲載されているので空腹時にはご注意を。
リンクURL フェーヴ : お菓子の中の小さな幸福