センターのいちおし
大学生のための知的技法入門 第2版 (アカデミック・スキルズ)
2014.11.05
タイトル 大学生のための知的技法入門 第2版 (アカデミック・スキルズ)
編著者名 佐藤望編著/湯川武, 横山千晶, 近藤明彦著
出版社 慶應義塾大学出版会
出版年 2012.9
内容と紹介 後期になり、大学では来春の入試が始まりました。
この春入学した新入生も来春には「先輩」です。上回生のみなさんの中にも「ついこの間大学生になったばかりなのにもう卒業って!早すぎ!」…と思っている人も少なからずいるのではないでしょうか。時の流れは実に早いもの。短い大学生活、精一杯学びそして楽しんでください。

大学生活というと、最近ノート・テイキング(ノートの取り方)で戸惑う学生によく出会います。
中学や高校の頃は教科書を読んで先生が板書する内容を書き留めておけば及第点が取れたのに、大学の講義では板書しない先生がいたり、逆に板書が多い先生がいたりと、それまでのノートの取り方とは異なる部分が多いことが「ノートが取れない」という悩みの原因のようです。

話を聞いていると、自分の学生時代を思い出して懐かしくなると同時に、そういえばノート・テイキングの方法について教わったことがなかったことに気が付きました。論文やレポートの書き方については、ゼミで先生からしごかれる内にだんだん会得したり、ノウハウ本を読んだりして何とか書けるようになったものの、ノート・テイキングの方法まで教えてくれる先生はいませんでした。ノートを取るということは大学で授業を受ける時に一番大切なことなのにおかしな話だとも思いますが、逆にいえば「教えるまでもない」くらいノート・テイキングの技術は大学での学びの基礎中の基礎だということでしょう。

と思いきや。
ある大学の先生のサイトにあった「ノートの取り方」の項目にこんな一文がありました。
「メモの取り方、ノートの取り方などは、仕事ができる人の商売上の秘密なので簡単には教えてもらえない。私も知りたい。」なんと切実な言葉でしょう。
そう、大学におけるノート・テイキング道は教えてくれる者もいない、試行錯誤の末に自ら会得するしかない、一子相伝以上に厳しい道だったのです!だから教えて貰えなかったのか!人生厳しい!

しかし諦めるのはまだ早い。ファカルティ・ディベロプメントが教員に求められ、大学での学びの質が取りざたされる昨今、大学でのノート・テイキングのコツを教えてくれる本が複数出版されているのです。
それらで共通して語られるコツは端的に言ってしまえば「板書を丸写しするのではなく要点をまとめてノートを取る」という大変シンプルなことになります。しかし授業によってノートの取り方の難易度は様々。今回紹介する『大学生のための知的技法入門 第2版 (アカデミック・スキルズ)』では、板書しない派やPowerPoint派など、先生の講義のタイプ別にノート・テイキングのコツを書いており、まるでゲームの攻略本のように面白くかつ実戦的な内容になっています。
ノート・テイキングの他にも本の読み方や情報整理、プレゼンテーション、論文・レポートの書き方に至るまで、大学生になったばかりの学生が授業で戸惑うことへの対処法が慶應義塾大学の先生たちによって解説されており、実際に初年次教育の現場で行われる授業内容を元にしているだけあって、分かりやすさは折り紙つき。
また、どんな偉い先生も元は学生。そんな先生たちの学生時代の苦労や、先生として授業する側として学生に「こうして欲しい」と思っていることが垣間見られるという点でも興味深く読むことが出来ました。

とはいえ、実際に講義の要点をまとめてノートを取るのは、本を読んだだけでは習得できない、自分で経験してみて初めて手にできる「技術」であることに変わりはありません。

また大学生が、「生徒」ではなく「学生」と言われるのはどういうことなのか、という根本的な問題を見つめ直す上でもお勧めです。自分も学生の頃に本書に出会いたかったと本気で思いました。
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