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八代目坂東三津五郎 : 空前絶後の人 (ミネルヴァ日本評伝選)
2013.09.30
タイトル 八代目坂東三津五郎 : 空前絶後の人 (ミネルヴァ日本評伝選)
編著者名 田口章子著
出版社 ミネルヴァ書房
出版年 2013
内容と紹介 八代目坂東三津五郎は、明治39(1906)年生まれの歌舞伎役者。当代の十代目三津五郎の祖父にあたる人物です。七代目三津五郎の養子として江戸歌舞伎の正統を継ぐ役者となるよう育てられ、敵役・老役を得意としました。後進の育成や社会貢献にも優れ、非常に勉強・研究熱心で、役者や舞踊といった本職のみならず、茶道・俳句、骨董や美術にも造詣が深く、13冊の著書を持つ日本エッセイストクラブ賞受賞者です。この時代の男性には珍しく自ら料理をする食通であり、洋画家の岸田劉生や、能楽師の片山博通、料理人の辻嘉一、俳人の高濱虚子など活動のジャンルを超えた広い交友をもつ人物でした。昭和48(1973)年に人間国宝と認められますが、その2年後の昭和50年、南座出演中の京都にてフグ中毒となり、突然その生涯を終えることとなります。
著者は本学田口章子教授。八代目の舞踊の弟子だった吉田芙㐂子氏、歌舞伎学の弟子だった今尾哲也氏とともに研究会を発足、6年の歳月をかけてこの評伝を完成されました。
八代目の生い立ちに始まり、その芸の礎となった教育・環境・時代背景とともに、格式や伝統に抗いつつ新しい表現を模索し、正統な芸を学び、その継承者として認められるに至るまでの「空前絶後」な歌舞伎役者の人生、八代目が目指していた芸術のあり方、歌舞伎史における八代目の芸術の真価が、さまざまな文献や証言をもとに検証されています。
東京に生まれ江戸歌舞伎の下で育った八代目が、なぜ関西歌舞伎に所属、活躍することになったか、興業会社としての松竹と東宝の業界事情など、昭和初期の日本芸能史としても興味深く読むことができます。
八代目三津五郎の「芸」に興味を持った方は、『芸十夜』(坂東三津五郎、武智鉄二著、普通774/B)、『今尾哲也先生と読む「芸十夜」』(田口章子編、本学関連774.04/TA)と
併せて読むのがお勧めです。
リンクURL 八代目坂東三津五郎 : 空前絶後の人 (ミネルヴァ日本評伝選)